昨日に続いて、期限切れフィルムを使う上での注意事項など。
まず、まともに使えると思わないのが前提です。
あ、意外と写ってるぞ」と、そういう楽しみ方でいきましょう。
以下に挙げるように、いろんなことが起こりますんで。

実効感度の低下、カラーバランスの崩壊

ベストな状態を保てる期限が過ぎてしまっているので、
少なからず期限切れフィルムの感度は低下しています。
色もまともなフィルムとは違うようになっているかもしれません。
(それがある意味では楽しいんですけどね)
書いてあるとおりの感度を設定して撮ったのに、
ものすごく暗くなっちゃったりすることがあります。
モノクロだとあんまり感じないですが、
1/3段くらい補正した方が良いかもね。
ISO400のフィルムなら320に、ISO100なら80くらいにしましょう。
この前1段補正したら黒すぎた。

ちなみにカラーネガは「10年ごとに1段」という目安があるらしい。
まだカラーは実験してないから正しいかは分からん。
20年経過したISO100カラーネガは-2段してISO25で使うんですね。
手持ち出来ねぇー。

使用済みかもしれない

あなたに期限切れフィルムを売ってくれた心優しい人
もしかするとカメラのことに全然詳しくないかもしれません。
間違えて途中まで引き出しちゃっていたり、
撮影が終わって取り出したものが
未使用フィルムの中に入ったりしているかも知れません。
(この前のやつの中に、思いっきり名前の書き込みがしてあるのがあった…)
そもそも、どんな場所にどれくらい置いてあったのかさえ分かりません。

ま、でも、Lomographyではフィルムスワップというのもあるらしいですし。
他の人との共作で偶発的にできる作品。素敵やん

現像時間が分からない

あまりにも古いフィルムは、Massive Dev Chartにも載っていない。
箱の裏側とかに主な現像液での処理時間はよく書いてありますが、
その現像液を使わないんじゃ意味ないし、
そもそも箱がなければ何も分からない

Fとかいつのだよ

何本かあれば段階的に現像時間の検証もできますが、1本だけじゃね。

Rodinalなんかを使って静止現像するのが一番間違いないかな。
(↑の写真のFはそうやって無事現像できた)

カールがすごい

人間だって、長年続けてきたことをいきなり覆されても困るわけです。
フィルムも同じです。

小さなパトローネの中に巻かれた状態で何十年も過ごしてきたのを、
ある日突然取り出して伸ばされたって「えっ」てなります。
乾燥が終わってクリップを外した瞬間にクルクルクルッと
バッハの髪の毛みたいになります。
切ってネガシートに入れても、ネガシートが円筒形に丸まります
何日が重石しておけば多少はマシになるかな。

ちぎれる・すっぽ抜ける

時間と共に劣化するのは乳剤だけではありません。
フィルムベースが劣化していれば普通に巻き上げただけなのに
いとも簡単にちぎれたりします。
また、フィルムを軸に留めているテープに粘着力がなくなっていて、
36コマ撮ったのにまだ巻き上げられるぞ……と思ったら
いつの間にかフィルムが軸からすっぽ抜けていた、
ということも起こります。(起こりました。後述)

いずれもダークバッグがないとカメラから取り出せないですね。
ない人は自家現像する知り合いを見つけておきましょう。

他にも、あり得ないことが起こる

以下はこの前入手したフィルムの中の1本で実際に起こったことです……w

SSって書いてあるけど富士じゃない。
よく見ると「KITAMURA CAMERA」って書いてある。
100ftで売られている長巻フィルムをお店で詰め替えて、
それを正規のパトローネ入りよりも安く販売するのが
昔はあったって、何かの記事で見たことはあるんですが、
どうやら、そういう類のものらしい。
ネオパンSSをカメラのキタムラで詰め替えて売ってたんですかね。

年代判定でキーになるのは「ASA100」という表記。
ASAというのは昔のフィルム感度表記の単位で、
数字はISOで表されるものと全く一緒。つまりISO100ってこと。

で、ASA表記がISO表記に変わったのが1983年7月とのこと。
だから少なくとも35年経過しているフィルムということが分かる。

撮れんのかなー、と思いつつカメラに入れて撮影。
36コマ目終わって一応慎重に巻き上げ(ちぎれないように)してみるが
何の抵抗もなくチャージできたので「もう1枚いけるんか?」と
撮影、更に巻き上げているときに気づいた。
「あ、フィルム抜けてる」
フィルムをタンクに入れた後で、パトローネの中から
粘着テープだったカピカピの茶色い何かが出てきた。w

中身はまぁネオパンSSなんだろうということで、
Massive Dev Chartで調べた時間で現像。
排出した現像液がなんか微妙に黒い。汚れかな?

…異変は定着が終わって水洗の時に発覚した。
タンクが溢れている水の中にワカメみたいなのが漂っている…。
まさか、乳剤が剥がれるとかそんなことある……?

あー……

フィルムの前半部分くらいまで乳剤が完全に劣化してて
水洗したら剥がれかけてきてた。画が出てきた形跡もなし。
しかし後半は問題なく現像できてた。

 

ま、そんな訳で、
「どう撮れたか分からない」というフィルム写真の楽しさに
「ちゃんと撮れてるか分からない」という更なるエキサイト成分を
加えてみるのはいかがでしょうか?w

あ、大事な撮影にはお勧めしませんよ。何度も言いますけど。